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Niwayama Gallery 庭山ギャラリー

Artist

23  クリヴェリ/Carlo Crivelli(1430/35-1495)

1476年 聖人たちと聖母子/The Virgin and Child with Saints(ロンドン) Tempera on poplar and lime

15世紀に描かれた女性にあって、もっとも強烈な個性を感じさせるのはクリヴェリが描いた女性だ。多数の聖人を一人づつ描いたパネルが並ぶ真ん中にこのパネルがある。好きになれるかは別として、そのうりざね顔と表情はほとんど完璧な美人である。血が通っているか疑問になるほど感情が表に出ないし、愛情を知らないままに大人になってしまったような女性にも見える。クリヴェリは、ヴェネチアで生まれて絵の修行をしたが、若い時に色恋沙汰に巻き込まれて、以降、故郷に戻ることなくイタリア各地で画家として生きてきた人。そうした人生の遍歴が反映してこのような女性像に至ったかは不明だが。マリアは豪華絢爛たる衣装に身を包み、光輪はあたかも女王の冠の一部であるかのようなたたずまいである。抒情的感傷的なマリア像ではない。北方絵画の影響を受けて緻密な筆遣いが細部まで及んでいるだけに、この強烈な美は完璧である。

  • AP44
  • AP44-2

1476年 聖カタリナ?(ロンドン)

(AP44)と一連のパネルの一枚で、聖カタリナ?である。この女性は強い意思を感じる。些か鋭角で高すぎる鼻梁は近寄りがたいが、クリヴェリの描く人物ではよくあるタイプである。

  • AP45
  • AP45-2

1480年 聖母子/Madonna and Child(メトロポリタン) Tempera and gold on wood

この絵の細密さ振りは、画面を拡大してみると画面右側の遠景部分に男が二人ターバンを巻いていることがわかるだろう。

  • AP46

1490年 聖母子/Madonna and Child(ワシントン) Tempera on panel

(AP44)のマリアを少し年増にさせるとこのようなマリアになるだろう。クリヴェリのマリアであることは見直すまでもない。

  • AP47

1492年 無原罪懐胎/The Immaculate Conception(ロンドン) Egg on wood

無原罪懐胎とは、聖母マリアはその母アンナの胎内に宿ったときから原罪を免れていたという説で、カトリックにあって15世紀に公認される方向が出された。クリヴェリはこうした風潮でこの絵の注文を受けたのであろう。

クリヴェリが女性を正面から描いたのは、ミラノにある「蝋燭の聖母」が知られているが、マリアの顔つきはよく似ている。

クリヴェリの描いた女性は、あまりにも個性が強く、特定のモデルを超越している。限りなくモデルに近づいて描写している親近感はない。強烈な美的感覚に基づく独自の女性像であった。

  • AP48
  • AP48-2

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