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Niwayama Gallery 庭山ギャラリー

Artist

21  ジョヴァンニ・ベリーニ/ Giovanni Bellini(1430/35―1516)

1480-85年 風景の中の聖母子/Madonna and Child in a Landscape(ワシントン) Oil on panel

ジョバンニは、父親、兄弟とともに画家としてヴェネツィアで活躍し、ジョルジョーネやティツアーノらに先駆けるヴェネツィア派の祖として尊敬されている。

この作品は、背景に風景をとりいれており、詩的な静けさに満ちている。マリアにはかすかながら光輪があり、日常的な宗教性を意識したのであろうか。

  • AP37

1480-85年 聖母子/Madonna and Child(ワシントン) Oil on panel

前作と同じ時期に描かれているが、背景は暗く落とし、マリアの衣装も全体に地味にしている。マリアには光輪はなく、モデルの反映と世俗化への徹底が見て取れる。

  • AP38

1480s後半 聖母子/Madonna and Child(メトロポリタン) Oil on wood

前2作とは印象を一変したように異にする聖母子像である。紺の衣装を浮きだたせる色調が鮮やかで、かすかに光輪をつけるマリアははっきりした目鼻立ちの美人で、モデルが誰か気になる。背景は風景とカーテンに分けられているが、この不均衡も気にならない。全体に非常に美しさを感じる。ジョヴァンニは、画家の始まりにおいてすでに肖像画で評判をとったが、後年も肖像画に取り組んだ影響で、「ヴェネツィアで多少とも地位のある人々は皆、彼やほかの画家たちに肖像を描いてもらう習慣が根付くことになった。」(ヴァザーリ)という結果になっている。後日、ティツアーノの膨大な肖像画が世に残される下地は、ジョヴァンニが用意したといえる。

  • AP39

1515年 化粧する女/Young Woman at her Toilette(ウイーン)

この絵を描いたときは、ジョヴァンニは80歳を超えていたころである。フィレンツエではボッティチェリが30年も前にヴィーナスの誕生を描いていたし、ヴェネチアでも数年前にはジョルジョーネが「ウルビーノのヴィーナス」を描いていた。ジョヴァンニもこれらの事実を当然知っていたであろうから、画家としての裸体画への挑戦をしたのかもしれない。全くの想像だが、依頼がないままに自分のためにのみ描いた絵画だったかもしれない。

ヴェネチアにあって、ジョルジョーネは所詮若造にすぎないが、大立者であったジョヴァンニがかかる裸体画を完成させたことは後輩の画家たちへ勇気を与えたであろう。

  • AP40

1490-1500年 聖母子/Madonna and Child with Saints(ワシントン) Oil on panel transferred first to canvas and then to wood

この作品は、ジョヴァンニの作ではなく、追随者の作品とされている。確かに、全体としてモノトーン的な色調で、構図も変わっている。しかし、(AP39)の作品のモデルと共通性があり、ジョヴァンニの藝術への積極性に鑑みると、このような絵を本人が描いてもなんら不思議ではない。私には(AP39)作品のモデルと同一に見えるがいかがであろうか。いずれにせよ、やや左正面から光をあてて、美人を光輪付きでマリアとしてほぼ真正面からてらいなく描いている。真筆か否かにかかわらず、気になる一枚である。

  • AP41

1459-60年 聖母子/Virgin and Child(フィラデルフィア) Oil on panel

ベリーニの確認されたもっとも初期のもの。後年のものと比較すると表現にやや硬さがみられるが、モデルの個性を描写する姿勢は明確である。

  • AP212

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