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Niwayama Gallery 庭山ギャラリー

Artist

50  ルーカス・クラナッハ/Lucas Cranach the Elder(1472-1553)

1509年 ヴィーナスとアモル/Venus and Cupid(エルミタージュ)

クラナッハは、ドナウ川流域で活躍したことからドナウ派の父と呼ばれる。この作品の展示場所が劣悪で、光の照り返しを避けるために正面から撮影ができなかったので、このような斜めからの撮影になった。クラナッハが後年描くようになった裸体画と比較すると、穏当平凡なヴィーナスである。もっぱら教訓(愛の営みを控えて、神に祝福される結婚生活をしなさい。――海津忠雄・世界美術大全集14巻426頁)のために作成されたからであろうか。

  • AP121

1520年頃 聖母に別れを告げるイエス/Christ Taking Leave of his Mother(ウイーン)

この宗教画は、イエスの受難を劇化している一場面のようである。宗教画のテーマも幅が広がっているし、イエスから離別を告げられるマリアのこのような真剣な顔つきが表現されたことも、従来はあまりなかったことではないだろうか。

  • AP122

1510-20年 アダムとイブ /Adam and Eve(ウイーン)

デューラーとほぼ軌を一にした時期にクラナッハも理想形としてのイブを描いている。しかし、デューラーの理詰めの裸体画とは異なり、クラナッハのイブはすでに独自の美的趣味が色濃く表れている。

  • AP123

1530年 パラダイス/Paradise(ウイ―ン)

アダムとイブが神からの忠告を守らず、楽園から追放される物語が描かれる。この絵では、イブはすっかりクラナッハ流になっている。

  • AP124

1530年頃 ユディットとホロフェルネス/Judith and Holofernes(ウイーン)

クラナッハは、独自の裸体画に意欲を燃やす一方、美少女をモデルにした聖書物語を描く。この作品は同一テーマでモデルを変えて何度か描いているが、西洋美術館で2016年に開催されたクラナッハ展覧会でポスターとして採用されたのはこの絵で、誰が見ても、美人の描写である。

  • AP125

1537年後 春のニンフ/The Nymph of the Spring(ワシントン) Oil on palel

クラナッハ流の裸体図のひとつの典型。ニンフは、全身を見えない程度に薄い白のベールで覆っているが、これはクラナッハの技術力を誇示するためもあるであろうが、ベールを着ていないとニンフの裸体画が社会的に許容されなかったのであろうか。

いずれにせよ、クラナッハの裸体画のオリジナリティの高さは圧倒的であり、美術史上の宝である。

  • AP126

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