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Niwayama Gallery 庭山ギャラリー

Artist

14  マザッチョ/Masaccio(1401-28)

1424/5年 聖アンナと聖母子/Madonna and Child with St.Anne and Five Angels(ウフィッツイ) Tempera on wood

フィレンツエで絵画の将来の行き道を指し示して26歳で夭折した美術史上欠くことのできない画家である。ヴァザーリは、マザッチョが絵画の本質を素描と単純な色彩を用いて生きた自然の諸物を完璧に模倣することにありと喝破して不断の探求心で学んだことを指摘している。ヴァザーリの指摘は、多くの前途有為な若き画家が、彼の描くカルミネ聖堂の壁画を修行のために勉強している様を現認しているから説得力がある。この作品で、聖母の衣装の襞を単純化したことをヴァザーリは指摘するが、現実感のある衣装の再現をマザッチョが目指しているということだろう。聖母の顔つきは当然に特定のモデルを想定すべきであろうが、そのモデルを特別に美化して修正をすることはしていないだろう。マザッチョの作品に現れる他の聖母もモデルに左右されて差異があるものの、いずれも美化した傾向はまったくない。絵画の歴史で人間の表現において一度はマザッチョのような姿勢で徹底することは避けられないかもしれないが、彼が長生きしたときに、人間への描写にどうような変化が出たものかは興味が尽きない。

  • AP23
  • AP23-2

1424/25-27年 楽園追放(カルミネ聖堂。ブランカッチ礼拝堂)

アダムとイブは多くの画家に描かれてきたが、その多くはイブを女性の理想形として描写している。しかし、ここに現れたイブを女性の理想形と認識する者はほとんどいないはずである、というほど強烈な印象をあたえる。ヴァザーリの美術家列伝(中央公論美術出版)に付された解説は、「暴力的とも言える筆致で絵具を塗り重ね、ジョット以来の細部の丁寧な描き起こしの伝統を捨て去っている。量感表現を実現するために、あえて一度描いたものを明暗を表現するために塗りつぶすという手法を用いて、人体の強い立体感と激烈とも言える感情表現を融合させている。この破壊的絵画描写こそ、その後ミケランジェロにいたる絵画史の一つの道筋を切り開いたといえよう。」と述べている。

  • AP24
  • AP24-2

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