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Niwayama Gallery 庭山ギャラリー

Artist

13  ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン/Rogier van der Weyden(1400頃-1464)

1435-40頃 聖母を描く聖ルカ/Saint Luke Drawing the Virgin(ボストン) Oil and tempera on panel

ロヒール・ウェイデンは、ヤン・ファン・エイクの跡を継ぐフランドル絵画の全盛時代の中心人物。油絵具を駆使して、細密で光を上手に利用する画風はその後ヴェネチア、フィレンツエなどに伝わる。聖ルカが聖母子をスケッチしているこの絵は複数のヴァリエーションがあるが、原画はボストン所蔵のこの絵で、アメリカにある北方ルネッサンス絵画の最重要なものと同美術館は自負している。授乳というそれ自体ほほえましいヒューマンな風俗場面を描くことをはばかることはないはずだが、聖母マリアにあてはめるのにはさすがにためらいがあったのではないか。ロヒールの師であるカンパンが同様の絵を遅くとも1430年までに描いているからこれに勇気づけられたのであろうか。ちなみにイタリアで聖母のリアルな授乳場面が描かれるのは16世紀を待つ。フランドルの地で、かかる聖母像が描かれたことは、宗教感情の世俗化が早かったことを意味するが、新教の影響が強かった同地の宗教感情のありかたとも関係があるのであろうか。敬虔なカソリック教徒には抵抗感があったのではないだろうか。

ロヒール・ウェイデンのこの絵で聖母はイエスを切れ長の眼で見つめている。唇にも微妙な動きがみられ、明暗に細心のほどこしがなされている。

参考までに、エルミタージュにある絵をアップする(21-3)。ややカメラぶれしている点はご容赦いただきたい。ボストンのものと一見よく似ているが、例えば聖母の表情を子細にみると、眼も違うし、唇も異なる。陰影のつけ方も異なり、全体にのっぺりした印象である。

  • AP21
  • AP21-2
  • AP21-3

1460年 若い女性の肖像/Portrait of a Lady(ワシントン) Oil on panel

フランドル画家の現実描写への志向は、かかるリアルな女性ポートレートを誕生させている。ワシントンナショナルギャラリーの所蔵名品集のカバーに採用されており、人気の高さも想像できる。繊細で細密な描写、白赤黒の色の簡素な組み合わせが落ち着いた表情の女性を際立たせている。モデルは不明だが、貴族の女性と考えられている。

  • AP22

1460年 キリストの磔刑/The Crucifikion,with the Virgin and Saint John the Evangelist Mourning(フィラデルフィア)

ロヒールは、イエスの磔刑に対するマリアとヨハネの示す悲しみを、大きな涙で表した。ただ、感情だけがこの画面を覆っているわけではない。絵画の構成は調和に基づく静謐な感情に溢れている。

  • AP213
  • AP213-2

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