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Artist
スペインは、エル・グレコ、ヴェラスケスやゴヤなど知名度も高い世界史的画家を輩出しているが、わかりやすく誰からも無条件に愛されている絵を描いたのは、ムリーリョが最右翼だろう。
ピッティ宮殿は、質の高い絵画が天井まで壁面を埋め尽くし、撮影には難儀する。天井付近の絵は、ほとんど写真にならない。この絵画は下段にあるが、光線が入り込む。しかし、絵画の魅力はそんな支障をものともしない。
ラファエル以降、世俗化されたマリアをこれほど魅力的に描いた画家はいなかっただろう。宗教画と美人肖像画の境目にある絵画だが、絵画の醸す気品の高さから、宗教画というべきか。
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AP245
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このテーマはどの宗教画家も一度は描くものだろう。マリアの衣装は、ルネッサンス以来の動向を見てみると、ラファエロもそうだが、赤を使うことが多い。ラピスラズリを使うために紺の衣装との組合わせも多い。ムリーリョは落ち着いた赤を使い、家族のひとときの休息の様子を描いた。
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ムリーリョはその生涯のほとんどをセヴィリアで過ごし、宗教画を制作した。この聖家族は、マリアの夫ヨハネがいない。洗礼者ヨハネとマリアの母エリザベツがイエスを崇めているかのような姿勢を示している。
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イエスが、こちらに視線を向けているが、子細に見ると、目線はあっていなくて少しずれている。それはともかく、イエスがなにかに気を散らせてマリアがこれを見守る瞬間のシーンである。マリアの赤と人肌とのツートーンの画面構成は静謐な空気感を醸している。
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AP248
まだあどけなさの残るマリアの可愛らしい顔つきはどうだと作者が言っているようだ。対抗宗教改革にあってマリアはカソリックのヒーローになり、このテーマは好まれるが、その中で最高の魅力度を有する。
ムリーリョの同じテーマの絵画もそうだが、画面右下に相当広く黒い雲がかかっている。なぜ黒なのか、小生には理解できていない。
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AP249
Artist
- 75 モラレス/Luis de Morales(1509-1585)
- 76 バッサーノ/Jacopo Bassano(1515-1592)
- 77 ティントレット/Tintoretto(1518-1594)
- 78 サンティ・ディ・ティト/Santi di Tito(1536-1603)
- 79 エル・グレコ/EL Greco(1540/41-1614)
- 80 アンニヴァレ・カラッチ/Annibale Carracci(1560-1609)
- 81 グイド・レーニ/Guido Reni(1575-1642)
- 82 スケドーニ/Brtolomeo Shedoni(1578-1615)
- 83 フランチェスコ・ジェッシ/Francesco Gessi(1588-1649)
- 84 シモン・ブーエ/Simon Vouet(1590-1649)
- 85 リベラ/Jusepe deRibera(1591-1652)
- 86 ヨルダーンス/Jacob Jordaens(1593-1678)
- 87 プーサン/Nicolas Poussin(1594-1665)
- 88 ヴァン・ダイク/Anthony Van Dyck(1599-1641)
- 89 サッソフェラート/sassoferrato(1609-1685)
- 90 フランチェスコ・ヌボロン/Carlo Francesco Nuvolone(1609-1662)
- 91 アントニオ・デ・ペレーダ/Antonio de Pereda(1611-1678)
- 92 ミニャール/Pierre Mignard(1612-1695)
- 93 カルロ・ドルチ/Carlo Dolci(1616-1686)
- 94 ムリーリョ/Bartolome Esteban Perez Murillo(1617-1682)
- 95 バルデス・レアル/Juan de Valdes Leal(1622-1690)
- 96 ティエポロ/ Giovanni Battista Tiepolo(1696-1770)
- 97 バトーニ/Pompeo Batoni(1708-1787)
- 98 メングス/Anton Raphael Mengs(1728-1779)
- 99 ルモワーヌ/Francois Lemoyne(1688-1731)
- 100 ダイス/William Dyce(1806-1864)