Niwayama Gallery 庭山ギャラリー

Chapter

裸体画の変遷

美人画の系譜シリーズから裸体画を外すわけにはいかない。美人理想像をイブやヴィーナスに求めた時代から、美人の大きな要素としての裸体イメージは画家の工夫の対象になった。裸体画に社会的な需要があったから画家がこれに応えたのであり、男性目線の社会であったことが、女性裸体画の隆盛の背後にあったことは否定しえない。しかし、そのことも念頭に置いたうえでも、この500年間の裸体画の変遷を一瞥するのは、美術史を勉強する上で必要である。絵画で裸体美を追求する需要はこの百年間で大幅に減少した。世界中の裸体美はいまや写真その他の媒体で誰にでもアクセスできる。これらの媒体をとおして得られる裸体美を凌駕するものを絵画が生み出せるのかは、難問である。だが、ゴヤの「裸のマヤ」がいまもって最高の裸体画であるのは、それを描くだけの必然性がゴヤにあったからこそ彼に傑作を描かせたのであり、そのような画家の存在が今後も続くと期待したい。

 

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